介護報酬担保ローンとは?介護ファクタリングとの違いやメリット・注意点を解説

介護施設/訪問介護

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医者と看護師が高齢者をサポートしている様子

介護事業者がまとまった資金を調達したいときや資金繰りを改善したいとき、介護報酬担保ローンが検討できます。

介護報酬担保ローンとは、国民健康保険団体連合会などから受取る介護給付費を担保にご融資を受けるローンです。

本記事では、介護報酬担保ローンの仕組みや介護ファクタリングとの違い、メリット・注意点を解説します。利用の流れや介護報酬担保ローンが向いている介護事業者の特徴も解説するので、ぜひご覧ください。

介護報酬担保ローンは介護事業者向けの融資商品

介護報酬担保ローンとは、介護事業者が国民健康保険団体連合会(国保)から受取る介護給付費を担保にご融資を受けるローンです。一般的な流れを紹介します。

  • 介護報酬担保ローンにお申込みする
  • 債権譲渡手続き後、ご融資が実行される
  • 支払機関に介護給付費を請求する
  • 支払機関が金融機関に介護給付費を支払う
  • 介護給付費から返済金額が差し引かれた差額が利用者(介護事業者)に支払われる

介護給付費を担保として提供することで、不動産などの担保なしでまとまった資金を調達できるのが介護報酬担保ローンの特徴です。

介護事業者が資金繰りに困ったときに検討できる手段には、介護ファクタリングもありますが、両者は仕組みが異なります。

介護ファクタリングとの違い

介護ファクタリングとは、介護事業者が国民健康保険団体連合会(国保)から受取る介護報酬債権を介護ファクタリング会社に買い取ってもらうことで、早期に資金化ができるサービスです。

介護報酬担保ローンは「ご融資」ですが、介護ファクタリングは「債権の売買」であり、仕組みが異なります。主な違いは以下のとおりです。

項目

介護報酬担保ローン

介護ファクタリング

仕組み

介護報酬債権を担保にご融資を受ける

介護報酬債権を買い取ってもらう

融資(買取)上限額

介護給付費の約3~5ヶ月分

介護給付費の80%程度

資金調達までの期間

最短3日程度

最短即日~5営業日程度

金利(手数料)

年2.5%〜15.0%程度

年6.4%~24%程度

会計処理

借入金(負債)

売掛金の減少

介護報酬担保ローンで調達した資金は借入金にあたるため、貸借対照表に負債として計上されますが、介護ファクタリングの調達資金は売却代金であり、負債にはなりません。また、ご返済と利息の支払いは不要です。

ただし、介護ファクタリングは、一度利用すると取引を終了しにくい傾向があります。介護報酬担保ローンと介護ファクタリングはどちらも債権の譲渡が行われますが、お金の流れが異なります。

介護報酬担保ローン

  • 介護報酬担保ローンにお申込みする

  • 債権譲渡手続き後、ご融資が実行される

  • 支払機関に介護給付費を請求する

  • 支払機関が金融機関に介護給付費を支払う

  • 介護給付費から返済金額が差し引かれた差額が利用者(介護事業者)に支払われる

介護ファクタリング

  • 医療機関が支払機関に介護給付費を請求する

  • 医療機関が介護報酬債権をファクタリング会社に売却する

  • ファクタリング会社から手数料を差し引いた売却代金が入金される

  • 支払機関がファクタリング会社に介護給付費を支払う

介護報酬担保ローンでご融資を受けたあとは、介護給付費から返済金額を差し引いた差額を返還してもらうことでご返済します。

いっぽう、介護ファクタリングは、介護報酬債権を売却し、介護給付費を前倒しで受取る仕組みです。一時的には資金繰りを改善できますが、本来の入金日に介護給付費を受取れるわけではないため、一度利用するとやめるのが難しい傾向があります。

また、利息の支払いは不要ですが、売却代金から手数料が差し引かれるため、実際に受取る金額は介護給付費よりも少なくなります。

介護報酬担保ローンの金利は、利息制限法の上限(借入金額が100万円以上の場合は年15.0%)を超えることがありません。しかし、介護ファクタリングの手数料には利息制限法が適用されず、年率に換算すると介護報酬担保ローンの金利よりも高い傾向があります。

介護報酬担保ローンのメリット

介護報酬担保ローンは、介護事業者が資金繰りを安定させる方法のひとつとして検討できます。主なメリットは以下のとおりです。

  • 資金繰りが改善される
  • 不動産担保なしでまとまった資金を調達できる
  • 一般的に利用目的の制限がない

資金繰りが改善される

介護報酬担保ローンを利用すれば、介護給付費を受取るまでに資金を調達できるため、資金繰りが改善される可能性があります。

現行の介護保険制度では、介護給付費のお支払いまでに約2ヶ月のタイムラグが発生するため、一時的に手元資金が不足しやすく、介護事業者の資金繰りが苦しくなる原因になることがあります。

介護報酬担保ローンでは、介護給付費が支払われるまでに数ヶ月分のご融資を受けられるため、まとまった運転資金を確保することが可能です。

不動産担保なしでまとまった資金を調達できる

介護報酬担保ローンは、原則として不動産担保や保証人が不要です。

通常、銀行などのご融資を受ける際、不動産(土地や建物)などの担保を用意する必要があります。

しかし、介護報酬担保ローンを利用すれば、保証人や不動産を用意できない介護事業者でもまとまった資金の調達が可能です。一般的に、介護報酬担保ローンでは、介護給付費の約3~5ヶ月分のご融資が受けられます。

なお、法人の場合は代表者の連帯保証が必要な場合があります。

一般的に利用目的の制限がない

介護報酬担保ローンは、一般的に利用目的の制限がないため、設備投資資金や運転資金などに幅広く利用できます。たとえば、以下のような目的でご融資を受けることが可能です。

  • 介護職員を雇用するための支度金や当面の給与
  • 介護用ベッドの購入資金
  • 老朽化した施設の改装資金
  • 社会保険料や税金を支払うための資金
  • ファクタリング会社との取引を終了させるための運転資金など

介護報酬担保ローンを利用する際の注意点

計算機で計算している医者

介護事業者が早期にまとまった資金を調達したいときに検討できる介護報酬担保ローンですが、利用にはいくつかの注意点があります。

  • 審査に通過する必要がある
  • 融資事務手数料や早期返済違約金がかかる場合がある

審査に通過する必要がある

介護報酬担保ローンを利用する際は、他のご融資と同様に審査が必要です。

審査の結果、ご返済が滞るリスクが高いと判断されると、ご融資が受けられない場合や保証人が必要となる場合があることを心に留めておきましょう。

なお、無担保ローンでは申込者の信用力が審査対象となるのに対し、介護報酬担保ローンでは担保(介護給付費)の価値も評価されます。

介護給付費は公的機関から支払われるものであるため、一般的に回収できる可能性が高いとみなされやすい傾向があります。

融資事務手数料や早期返済違約金がかかる場合がある

介護報酬担保ローンでは、ご契約する際の融資事務手数料や、繰上返済時の早期返済違約金がかかる場合があります。

融資事務手数料は、金融機関からご融資を受ける際に支払う費用のことで、融資額に対する一定割合を支払うのが一般的です。また、早期返済違約金は、支払期日前に一部または全部をご返済する際、利息とは別にかかる手数料です。

利息以外にかかる費用は金融機関によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

介護報酬担保ローンがおすすめの介護事業者

介護報酬担保ローンは、一般的に以下のような介護事業者に向いています。

  • 不動産を所有していない
  • 介護給付費を受取るまでにまとまった資金を調達したい
  • 社会保険料や税金の未納分をまとめてご完済したい
  • ファクタリング会社との取引を終わらせたい

介護報酬担保ローンは、介護給付費を担保にご融資を受けるため、担保にできる不動産がない介護事業者でも利用できます。

また、介護報酬が支払われるまでに資金を確保でき、まとまった資金需要にも対応できます。原則として利用目的も問われないため、社会保険料や税金の未納分をご完済したい方、ファクタリング会社との取引を終わらせたい方にも向いているといえるでしょう。

介護報酬担保ローンを利用する際の流れ

この章では、介護報酬担保ローンのお申込みからご融資までの一般的な流れを紹介します。

  • 申込み・書類提出
  • 審査
  • 契約・債権譲渡通知
  • 融資

なお、実際の流れは金融機関によって異なる場合があります。

① 申込み・書類提出

インターネットや電話から、介護報酬担保ローンにお申込みしましょう。

お申込み後に仮審査が実施され、通過後、必要書類を提出します。AGメディカルの場合、主に提出いただくのは以下の書類です。

  • 代表者ご本人様を確認する書類
  • 登記事項証明書(商業登記簿謄本)
  • 決算書原則2期分
  • 支払額決定通知書
  • 納税証明書など

また、事業計画書や資金繰り表をご提出いただく場合があります。必要書類は金融機関によって異なるため、案内に従って漏れがないように提出しましょう。

② 審査

必要書類を提出すると、審査(本審査)が実施されます。

AGメディカルの場合、書類審査後にお客さまの事務所を訪問させていただき、代表者さまと面談を行います。訪問の際は事前に電話またはメールにてご連絡いたしますのでお待ちください。

なお、AGメディカルでは、必要書類をご提出いただいてから最短3日で審査結果をお知らせします。

③ ご契約・債権譲渡通知

審査結果の通知後、金利や融資金額などの条件を確認し、問題がなければ金銭消費貸借契約、債権譲渡契約を締結します。また、介護給付費の支払機関に対して債権譲渡通知を提出します。

AGメディカルの場合、債権譲渡手続きは弊社が代行するため、お客さまの手続きは必要ありません。

④ 融資

債権譲渡通知受理の確認後、ご契約内容に基づいてご融資が実行されます。

ご融資のあとは、毎月支払機関から金融機関に支払われる介護給付費からご返済金額を差し引いた差額分が利用者(介護事業者)に返還される仕組みです。

介護報酬担保ローンのご相談はAGメディカルへ

AGメディカルでは、介護事業者さま向けに介護報酬担保ローンをご用意しています。

お客さまが国民健康保険団体連合会(国保)に対して有する債権を担保にご提供いただくことで、最大、介護給付費の4.0ヶ月分のご融資が可能です。保証料・契約時手数料のご負担がないため、あんしんしてお申込みいただけます※1。

項目

AGメディカルの介護報酬担保ローン

介護ファクタリング

金利(手数料)

年3.5%〜15.0%

年6.4%~24%程度

その他費用

  • 印紙代(実費)
  • 根抵当権設定費用(不動産を担保にした場合)
  • 事務手数料
  • 更新料
  • 印紙代
  • 振込手数料など

利用をご検討中の介護事業者さまは、お借入れが可能な金額を簡易的に診断できる「お借入れ5秒診断」をご利用ください※2。

また、インターネットでの資料請求や電話でのご相談も受け付けています。

※1 

ただし支払期日前に返済する場合(一部償還を含む)は、早期返済違約金をいただきます。

※2 

診断の結果は、入力いただいた情報に基づく簡易なものとなります。実際の審査では、当社規定によりご希望に添えない場合もありますのでご了承ください。

まとめ

介護報酬担保ローンとは、介護事業者が国保や社保の支払機関に対して有する介護債権を担保にご融資を受ける商品です。

介護給付費を受取るまでの期間、一時的に資金が不足する場合や、設備資金・運転資金などのまとまった資金を調達したい場合などに検討できます。

介護報酬担保ローンに対し、介護ファクタリングは介護債権を買い取ってもらうサービスであり、仕組みが異なります。仕組みを正しく理解し、返済シミュレーションを行ったうえで計画的に利用しましょう。

AGメディカルでは、月々のご返済金額や利息の額、返済期間などを試算できる「ご返済シミュレーション」がご利用いただけます。お借入れの前にぜひご利用ください。

監修者

大泉 稔

大泉 稔

株式会社fpANSWER代表。明星大学日本文化学部言語文化学科卒業。企業研修の講師を務めていて、受講者の人数は延べ1万1千人を超える。専門誌やWEBへの寄稿も対応しており、最近は個人のお客様から投資のご相談を頂く機会も増えてきている。また専門学校2校および高等学校1校、進学塾の各非常勤講師も兼務。

資格情報

1級FP技能士・貸金業務取扱主任者・1種証券外務員
https://www.cfpm.biz/外部リンクアイコン

AGメディカルについて
AGメディカルは診療報酬担保ローン・調剤報酬担保ローン・介護報酬担保ローン・障害福祉サービス費等担保ローンなどさまざまなご融資に関するサービスを提供している会社です。多くの医療機関様、調剤薬局事業者様、介護事業者様、障害福祉事業者様にご好評いただいております。今後も皆さまの事業の「今」を資金面から力強くサポートするパートナーとして選ばれるように努めてまいります。なお、ご利用は貸付条件をご確認のうえ、借りすぎに注意しましょう。

貸金業者登録票
商号:AGメディカル株式会社
本社:〒105-0014東京都港区芝2丁目31-19バンザイビル
登録番号:関東財務局長(2)第01521号 日本貸金業協会会員 第006168号
登録有効期間:令和6年4月7日~令和9年4月6日
加盟指定信用情報機関:株式会社日本信用情報機構
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