診療報酬担保ローンとは?ファクタリングとの違いやメリット・注意点を解説

医療機関/クリニック/歯医者

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貯金箱を持っている医者

診療報酬担保ローンは、診療報酬債権を担保にご融資が受けられる医療機関向けのローンです。診療報酬債権を担保として提供することで、診療報酬が入金されるまでにまとまった資金を調達できます。

本記事では、診療報酬担保ローンの仕組みやメリット・注意点、利用の流れを解説します。

早期に資金を確保したい事業者さまや、高度医療機器の導入費用や施設の増築、改装費用を調達したいとお考えの事業者さまはぜひ参考にしてください。

診療報酬担保ローンとは

診療報酬担保ローンとは、保険医療機関などが国民健康保険団体連合会(国保)や社会保険診療報酬支払基金(社保)の支払機関に対して有する診療報酬債権を担保にご融資を受けるローン商品です。

一般的な流れを以下で説明します。

  • 利用者(保険医療機関など)が診療報酬債権を担保にご融資を受ける
  • 利用者が支払機関に診療報酬を請求する
  • 支払機関から金融機関に診療報酬が振込まれる
  • 診療報酬から返済金額を差し引いた差額分が金融機関から利用者に振込まれる

診療報酬が入金されるまでには、約2ヶ月の期間を要します。診療報酬担保ローンを利用すれば、診療報酬が入金されるまでにまとまった資金の調達が可能です。

診療報酬ファクタリングとの違い

診療報酬ファクタリングとは、診療報酬債権をファクタリング事業者に売却し、手数料が差し引かれた売却代金を受取ることで早期に現金化できるサービスであり、診療報酬担保ローンとは仕組みが異なります。

項目

診療報酬担保ローン

診療報酬ファクタリング

形態

ご融資

債権の売買

金利(手数料)

年2.5%~15.0%程度

年8%~40%程度

会計処理

借入金(負債)

売掛金の減少

診療報酬ファクタリングは「債権の売買」であり、「ご融資」ではないため、ご返済・利息の支払いが不要です。

また、診療報酬担保ローンで借りたお金は貸借対照表に負債として計上されますが、診療報酬ファクタリングの調達資金は売却代金であるため、負債にはなりません。そのため、融資を受ける際の審査に影響を与えることはないでしょう。

ただし、診療報酬ファクタリングは一度利用すると取引をやめるのが難しくなる傾向があります。診療報酬担保ローンと診療報酬ファクタリングではどちらも債権の譲渡が行われますが、以下のようにお金の流れが異なります。

診療報酬担保ローン

  • 利用者(保険医療機関など)が診療報酬債権を担保にご融資を受ける

  • 利用者が支払機関に診療報酬を請求する

  • 支払機関から金融機関に診療報酬が振込まれる

  • 診療報酬から返済金額を差し引いた差額分が金融機関から利用者に振込まれる

診療報酬ファクタリング

  • 医療機関が支払機関に診療報酬を請求する

  • 医療機関が請求済みの診療報酬債権をファクタリング会社に売却する

  • ファクタリング会社から手数料を差し引いた買取代金が入金される

  • 支払機関がファクタリング会社に診療報酬を支払う

診療報酬担保ローンは、まとまった融資を受け、診療報酬から返済金額を差し引いた差額分を返還してもらうことで返済する仕組みです。

いっぽう、診療報酬ファクタリングは診療報酬債権を売却し、診療報酬を前倒しで受取る仕組みです。一時的に資金繰りの改善に役立ちますが、本来の入金日に診療報酬を受取れるわけではないため、一度利用すると抜け出しにくくなる傾向があります。

また、診療報酬ファクタリングでは売却代金から手数料が差し引かれるため、実際に受取る金額は本来受取る診療報酬より少なくなります。

診療報酬担保ローンでは、利息制限法によって上限金利が決まっており、年15.0%(借入金額が100万円以上の場合)を超えることはありません。しかし、診療報酬ファクタリングの手数料には利息制限法が適用されず、年率に換算すると診療報酬担保ローンの金利よりも高い傾向があります。

診療報酬担保ローンを利用するメリット

診療報酬担保ローンを利用すれば、診療報酬の入金を待たずに早期の資金調達が行えます。主なメリットは以下のとおりです。

  • 保証人や不動産の担保なしで融資が受けられる
  • 無担保ローンと比べて金利が低い傾向がある
  • さまざまな資金に利用できる

保証人や不動産の担保なしで融資が受けられる

通常、金融機関から事業資金としてまとまった金額のご融資を受ける際は、土地や建物などの担保が必要です。

しかし、診療報酬担保ローンは、診療報酬を担保にご融資を受ける商品であり、原則として保証人や不動産担保を用意する必要がありません。したがって、担保として提供できる不動産を所有していない事業者でも利用できます。

無担保ローンと比べて金利が低い傾向がある

診療報酬担保ローンは、無担保ローンと比べて低金利で資金調達できる可能性があります。診療報酬担保ローンなどの有担保ローンは、利用者がご返済できなくなると金融機関が担保を売却し、その資金から貸したお金を回収するからです。

担保を提供することで金融機関が貸したお金を回収しやすくなるため、金利が低めに設定される傾向があります。

さまざまな資金に利用できる

診療報酬担保ローンは、一般的に利用目的が問われないため、設備投資や運転資金などに幅広く利用できます。

  • レントゲン機器
  • CT機器の購入資金
  • 診療施設増築にかかる諸経費
  • 新施設開設にかかる改装費、設備費、人件費
  • 各種税金、社会保険料の支払いなど

数ヶ月の診療報酬分の資金を一度に調達できるため、高度医療の拡充や施設増築、新施設開設などに伴うまとまった資金需要への対応も可能です。

診療報酬担保ローンを利用する際の注意点

計算機で計算している医者

不動産担保なしでまとまった資金を調達できる診療報酬担保ローンですが、以下の注意点があります。

  • 事務手数料や早期返済違約金がかかる場合がある
  • 収益が減少したときに返済の負担が重くなる可能性がある

事務手数料や早期返済違約金がかかる場合がある

診療報酬担保ローンでは、利息以外に融資事務手数料や早期返済違約金、送金手数料などの諸費用がかかる場合があります。

融資事務手数料とは、ご融資を受ける際に必要な事務手続き費用として金融機関に支払う費用です。また、早期返済違約金(繰上返済手数料)は期日前にご返済する場合に支払う費用を指します。

診療報酬担保ローンを利用する際に必要な費用は金融機関によって異なるため、事前に確認しましょう。

AGメディカルの場合、事務手数料や保証料のご負担なくご利用いただけます※。

ただし支払期日前に返済する場合(一部償還を含む)は、早期返済違約金をいただきます。

収益が減少したときに返済の負担が重くなる可能性がある

診療報酬担保ローンを利用すれば、将来債権からまとまった資金を調達できますが、診療報酬の改定などで収益が減少するとご返済の負担が重くなる可能性があります。

ご融資を受ける際は、事前に返済シミュレーションを行い、無理のない範囲でお借入れすることが大切です。

AGメディカルでは、「ご返済シミュレーション※」がご利用いただけます。利用ご希望額、ご返済回数、ご契約利率(年)を入力すると、月々のご返済金額やお利息の額などを試算できるため、ぜひご活用ください。

診断の結果は、入力いただいた情報に基づく簡易なものとなります。実際の審査では、当社規定によりご希望に添えない場合もありますのでご了承ください。

診療報酬担保ローンを利用する流れ

この章では、AGメディカルを例に、診療報酬担保ローンを利用する際の流れを解説します。

  • 申込み
  • 必要書類の提出
  • 審査(書類・面談)
  • 契約
  • 債権譲渡通
  • 融資

なお、実際の流れは診療報酬担保ローンによって異なる場合があります。

① 申込み

AGメディカルでは、24時間WEBからのお申込みが可能です。お申込みフォームに必要事項を記入してお手続きください。主な必要事項は以下のとおりです。

  • 事業形態
  • 会社名
  • 会社所在地
  • 事業開始年月
  • 事業内容
  • 氏名
  • 生年月日
  • 電話番号

申込後、AGメディカルから電話またはメールにて仮審査結果をご連絡します。

② 必要書類の提出

仮審査結果の通知後、必要な書類をお送りいただきます。メール、FAX、郵送での提出が可能です。必要書類は、法人と個人事業主のお客さまで異なります。

法人のお客様

  • 代表者ご本人様を確認する書類
  • 登記事項証明書(商業登記簿謄本)
  • 決算書原則2期分など

個人事業主のお客様

  • ご本人様を確認する書類

  • 確定申告書原則2年分など

共通

  • 支払決定通知書

  • 納税証明書など

上記以外に、事業計画書や資金繰り表が必要な場合もあります。仮審査結果の案内に沿って適切なひな型をダウンロードし、ご提出ください。

③ 審査(書類・面談)

必要書類のご提出後、AGメディカルで書類審査を実施します。その後、事前に電話またはメールでご連絡したうえで事務所に訪問させていただき、代表者様との面談を行います。

最短3日で審査結果をお知らせしますので、ご連絡をお待ちください。

④ 契約

融資条件をご確認いただき、問題がなければご契約手続きにお進みください。

お客様とAGメディカルとの間で金銭消費貸借契約、債権譲渡契約を締結します。契約時締結費用として印紙代(実費)が必要です。

⑤ 債権譲渡通知

国民健康保険団体連合会(国保)や社会保険診療報酬支払基金(社保)の支払機関に対して、債権譲渡通知を提出します。

なお、債権譲渡手続きはAGメディカルが代行しますので、お客さまのお手続きは必要ありません。

⑥ 融資

債権譲渡通知の受理確認後、お借入れいただけます。

ご融資のあとは、支払機関からAGメディカルに振込まれた診療報酬から返済金額を差し引いた差額分をお客さまの口座にお振込みします。

診療報酬担保ローンのご相談はAGメディカルへ

「AGメディカル」では、医療を営むお客さま向けに診療報酬担保ローンをご用意しています。

お客様さまが支払機関に対して有する債権を担保に、最大、診療報酬請求額の4.0ヶ月分の資金を調達できます。保証人や不動産担保は原則不要※で、事業の規模に応じて最大10億円のご融資が可能です。

また、AGメディカルの診療報酬担保ローンは、保証料・契約時手数料のご負担がないため、あんしんしてお申込みいただけます。

項目

AGメディカルの診療報酬担保ローン

診療報酬ファクタリング

形態

ご融資

債権の売買

金利(手数料)

年2.5%~15.0%程度

年8%~40%程度

その他費用

  • 印紙代(実費)
  • 根抵当権設定費用(不動産を担保にした場合)
  • 事務手数料
  • 権譲渡通知書作成手数料
  • 印紙代
  • 振込手数料など

診療報酬担保ローンの利用をご検討の方は、事前に「お借入れ5秒診断」をご利用ください。国保連合会・社保支払基金からの振込額など、かんたんな項目を入力するだけで、ご融資が可能な金額を簡易的に診断できます。

医療機器の導入や新施設の開設などでまとまった資金が必要な方は、ぜひご検討ください。

ただし、担保提供者の連帯保証が原則必要。また法人契約の場合は代表者の連帯保証が原則必要。

まとめ

診療報酬担保ローンとは、診療報酬債権を担保にご融資を受ける医療機関向けのローンです。診療報酬が入金されるまでには約2ヶ月の期間を要しますが、診療報酬担保ローンを利用することで早期の資金調達が可能となります。

また、診療報酬担保ローンの借入金は、医療機器の導入費用や施設の増築、改装費用、税金の支払いなど、さまざまな目的で利用できます。

融資事務手数料がかかる場合があるなどの注意点も踏まえて利用を検討しましょう。また、診療報酬担保ローンを利用する際は事前にシミュレーションを行い、計画的にお借入れください。

監修者

大泉 稔

大泉 稔

株式会社fpANSWER代表。明星大学日本文化学部言語文化学科卒業。企業研修の講師を務めていて、受講者の人数は延べ1万1千人を超える。専門誌やWEBへの寄稿も対応しており、最近は個人のお客様から投資のご相談を頂く機会も増えてきている。また専門学校2校および高等学校1校、進学塾の各非常勤講師も兼務。

資格情報

1級FP技能士・貸金業務取扱主任者・1種証券外務員
https://www.cfpm.biz/外部リンクアイコン

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AGメディカルは診療報酬担保ローン・調剤報酬担保ローン・介護報酬担保ローン・障害福祉サービス費等担保ローンなどさまざまなご融資に関するサービスを提供している会社です。多くの医療機関様、調剤薬局事業者様、介護事業者様、障害福祉事業者様にご好評いただいております。今後も皆さまの事業の「今」を資金面から力強くサポートするパートナーとして選ばれるように努めてまいります。なお、ご利用は貸付条件をご確認のうえ、借りすぎに注意しましょう。

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商号:AGメディカル株式会社
本社:〒105-0014東京都港区芝2丁目31-19バンザイビル
登録番号:関東財務局長(2)第01521号 日本貸金業協会会員 第006168号
登録有効期間:令和6年4月7日~令和9年4月6日
加盟指定信用情報機関:株式会社日本信用情報機構
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