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訪問介護における人件費の目安は?削減するポイントや注意点も解説
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訪問介護における人件費の目安は?削減するポイントや注意点も解説
訪問介護における人件費の目安は?削減するポイントや注意点も解説
介護施設/訪問介護
公開日:

訪問介護事業を運営するうえで、人件費は経費の大きな割合を占めます。サービスの質を維持しながら安定した事業を継続するためには、人件費を適切に設定することが重要です。
本記事では、訪問介護における人件費の目安や計算方法、削減のポイントを解説します。人件費を見直す際の注意点も紹介するので、訪問介護事業所の経営者や管理者はぜひ参考にしてください。
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もくじ
人件費・人件費率とは
人件費とは、企業が労働者に支払うお金のことです。
人件費には、基本給や各種手当、賞与といった直接的な賃金に加えて、社会保険料の事業主負担分として法律で義務付けられている「法定福利費」や、住宅手当、レクリエーション費用といった企業が独自に提供する「法定外福利費」などが含まれます。
人件費率とは、人件費が売上高に占める割合を示す指標です。人件費率を把握することで、事業の収益構造や人件費の健全性を評価できます。
人件費率には、主に以下の2種類があります。
人件費率の種類
概要
売上高人件費率
売上高全体に対する人件費の割合
売上総利益人件費率
売上総利益(粗利)に対する人件費の割合
これらの人件費率を分析することで、事業の採算性を客観的に評価し、適切な人件費管理をするための基礎データとして活用できるでしょう。
人件費率の計算方法
前述のとおり人件費率には、売上高人件費率と売上総利益人件費率の2種類がありますが、一例として売上高人件費率の計算方法をご紹介します。
売上高人件費率は、以下の計算式で算出されます。
- 人件費率=(人件費総額÷売上高)×100
人件費総額とは、基本給、各種手当、賞与、法定福利費などの合計金額を指します。売上高は、訪問介護サービスの提供によって得られた総収入のことです。
たとえば、ある訪問介護事業所の売上高が500万円、人件費総額が350万円だった場合の人件費率は、以下のようになります。
- 人件費率=(350万円÷500万円)×100=70%
上記の計算式によって算出された人件費率は、事業所の経営状況を把握し、改善策を検討するうえで重要な指標となります。
人件費率は介護施設の経営に影響する
公益社団法人全国老人福祉施設協議会が発表した「令和4年度収支状況等調査結果(介護老人福祉施設等)」によると、介護業界全体の人件費率は66.7%であり、前年度から0.5ポイント上昇しています。

出典:公益社団法人全国老人福祉施設協議会・老施協総研「令和4年度収支状況等調査結果(介護老人福祉施設等)」
黒字施設・赤字施設別に見ると、黒字施設の平均人件費率は60.9%であるのに対し、赤字施設では70.3%であり、9.4ポイントもの差が見られます。

出典:公益社団法人全国老人福祉施設協議会・老施協総研「令和4年度収支状況等調査結果(介護老人福祉施設等)」
人件費率の分布を見ると、黒字施設は60%前後、赤字施設は70%前後を中心として分布しており、人件費が事業の黒字・赤字を左右する要因のひとつであると考えられます。
上記のデータからも、人件費の適切な管理が、介護施設の健全な経営においていかに重要であるかがわかるでしょう。
介護サービス別の人件費率
人件費率は、介護サービスの種類によって異なります。令和4年度の決算データによると、主な介護サービスにおける人件費率は以下のとおりです。
介護サービスの種類
人件費率
介護老人福祉施設
65.2%
介護老人保健施設
64.2%
訪問介護
72.2%
通所介護
63.8%
出典:厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果の概要」
上記の表から、訪問介護における人件費率が他の介護サービスと比較して高い傾向にあることがわかります。理由としては、訪問介護サービスが「人」によるサービス提供を中心としていることが考えられます。
利用者の自宅に直接訪問し、身体介護や生活援助といった専門性の高い業務が求められるため、質の高い人材に対する人件費が高くなりやすい傾向です。
そのため、訪問介護事業の安定経営には、人材への適正な投資と適切な人員配置が重要だといえるでしょう。
訪問介護における人件費の構成
人件費は、単に職員への給料を指すものではありません。人件費を適切に設定し、管理するためには、人件費の構成要素を把握しておくことが大切です。
訪問介護事業所の人件費は、主に以下の要素で構成されています。
- 基本給
- 賞与
- 各種手当
- 法定福利費
- 法定外福利費
それぞれ詳しく解説します。
基本給
基本給は、介護職員の月々の基本的な賃金であり、給与全体の基礎となる部分です。基本給の金額は、職員の経験年数、保有資格、役職などによって異なります。
たとえば、介護福祉士のような専門性の高い資格を持っている職員の基本給は、資格を持たない職員よりも高く設定されることが一般的です。
また、基本給を設定する際には、地域ごとの最低賃金や介護業界全体の相場を考慮する必要があります。地域の物価や他社の給与水準を把握し、適切な基本給を設定することで、質の高い人材の確保や定着にもつながるでしょう。
賞与
賞与は、一般的に夏と冬の年2回支給されることが多く、ボーナスとも呼ばれます。事業所の業績や個々の職員の評価に応じて金額が決定されます。
賞与は、職員のモチベーション維持や優秀な人材の定着に寄与する重要な要素です。努力や成果が賞与として反映されることで、個人のスキルアップや業務改善への取組みが促されるでしょう。
各種手当
基本給や賞与以外に、以下のようなさまざまな手当が人件費に該当します。
各種手当
概要
通勤手当
職員の通勤にかかる費用を補助する手当
資格手当
介護福祉士や実務者研修修了者など、特定の資格を持つ職員に支給される手当
役職手当
サービス提供責任者や管理者などの役職を持つ職員に支給される手当
皆勤手当
無欠勤の職員に支給される手当
扶養手当
扶養家族がいる職員に支給される手当
処遇改善加算
国が介護職員の処遇改善を目的に設けている加算で、介護報酬として事業所に支給され、職員の給与に上乗せされる
これらの手当は、職員の生活を支えるだけでなく、モチベーションの向上や定着率のアップにもつながる重要な要素といえるでしょう。
法定福利費
法定福利費とは、法律によって事業者が支払うことが義務付けられている社会保険料の事業主負担分を指します。
具体的には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などの保険料が含まれます。これらは、職員の給与額に応じて変動しますが、一般的に給与額全体の約15%を占めるといわれています。
法定福利費は、事業所を運営するうえで必ず発生する固定費として、人件費の一部に含まれます。
法定外福利費
法定外福利費は、企業が独自に実施する福利厚生にかかる費用で、職員の満足度向上やエンゲージメントの強化を目的として導入されます。法律上の義務はなく、事業所が任意で支給します。
具体的には、住宅手当や家賃補助、社員食堂の利用補助、健康診断費用の補助、レクリエーション活動の支援費用などが該当します。これらの費用は、職員の定着率向上や採用競争力の強化に貢献する可能性があります。
訪問介護の人件費を削減する際のポイント

人件費の削減は、事業所の経営を安定させるうえで重要な課題です。ただし、サービスの質や職員のモチベーションを低下させないように、慎重に進める必要があります。
ここでは、訪問介護の人件費を削減する際のポイントを解説します。
業務効率化によって残業を減らす
業務効率化を行って残業時間を減らすことは、直接的な人件費である残業代を削減するだけでなく、職員の負担を大きく軽減します。
業務効率を上げるには、まず無駄な作業や重複している業務がないかを確認し、業務フローを最適化することが大切です。
具体策としては、記録作業の効率化が挙げられます。たとえば、介護記録をタブレットやスマホで実施するシステムを導入すれば、手書きでの転記作業が不要になり、業務時間を大幅に短縮できるでしょう。
また、申し送り方法の改善も重要です。申し送りのフォーマットを統一したり、ICTツールを活用したりすることで、情報共有がスムーズになり、業務にかかる時間を削減できます。
さらに、サービス提供の準備から片付けまでの各工程において、非効率な点や外部に依頼できる作業がないかを見直し、具体的な改善策を講じることも必要です。
これらの業務効率化は、単に残業代を減らすだけでなく、職員が本来の介護業務に集中できる時間を増やし、結果としてサービスの質の向上にもつながるでしょう。
適正な人員配置をする
人員配置の最適化は、限られた人数で最大限の稼働率を引き出すために重要です。特に訪問介護では、利用者宅への移動時間が発生するため、効率的なスケジュールの作成が重要です。
人員配置を適正化するには、まず利用者一人ひとりの介護度と必要なケア内容を詳しく分析し、それぞれのサービスに必要な時間を正確に見積もることが大切です。
次に、利用者の地理的な位置関係を考慮し、移動時間を最小限に抑える効率的な訪問ルートを作成しましょう。少ない人数でもより多くのサービスを提供できるようになります。
最近では、AIを活用して最適な訪問ルートを自動で作成してくれるシステムも登場しています。便利なシステムを積極的に導入することで、スケジュール作成の手間を大幅に削減し、業務効率を向上させることもできます。
このような人員配置の適正化は、職員の過重労働を防ぎながら事業所全体の生産性を高めるために欠かせません。
訪問介護の人件費を見直すときの注意点
人件費の見直しは経営の健全化に不可欠ですが、実施する際はいくつかの重要な注意点を押さえておく必要があります。安易な人件費の削減は、事業に悪影響を及ぼす可能性があるため十分な配慮が求められます。
訪問介護の人件費を見直すときは、以下の3つの点に注意しましょう。
- サービス品質の低下リスクがある
- 離職率の増加につながる可能性がある
- 法令を遵守する
それぞれ詳しく解説します。
サービス品質の低下リスクがある
人員を過度に削減すると職員一人当たりの業務量が増加し、過労やストレスにつながります。サービス品質の低下やヒューマンエラーのリスクも高まるでしょう。
サービスの品質が低下すれば、利用者の満足度が低下し、口コミの悪化や利用者の減少に直結する可能性があります。事業所としての信用を損ない、経営を悪化させる原因にもなりかねません。
人件費を最適化するには、自社の事業モデルと収益性を踏まえ、サービスの質を維持できる範囲で優先順位をつけることが重要です。
離職率の増加につながる可能性がある
安易な給与カットや手当の削減は、職員の不満を高め、モチベーションの低下や離職につながりやすいため注意が必要です。
有能な人材の流出は、サービスの品質低下や人手不足だけでなく、新たな人材を採用するための求人広告費や研修費用も発生するため、結果的に事業所の負担を増大させることになります。
人件費を見直す際は、職員との十分なコミュニケーションを図り、なぜ見直しが必要なのか、どのような意図があるのかを丁寧に説明し、職員が納得できる形で施策を進めることが重要です。
職員の働きがいやキャリアアップの機会を奪わないように配慮し、長期的な視点で人件費戦略を立てましょう。
法令を遵守する
介護施設の人員配置基準は、介護保険法などの法令によって厳しく定められています。人件費削減を優先して職員数を減らした結果、人員配置基準を下回ると、法令違反となり、行政指導や介護報酬の減算などの対象となる可能性があります。
事業所の指定取消につながり、事業継続が難しくなることも考えられるでしょう。
訪問介護事業における主な人員配置基準は、以下のとおりです。
職種
配置基準
主な資格要件
訪問介護員
常勤換算で2.5人以上
介護福祉士、看護師、准看護師、保健師、生活援助従事者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、実務者研修修了者
サービス提供責任者
利用者の数が40人またはその端数を増すごとに1人以上
介護福祉士、実務者研修修了者、旧介護職員基礎研修修了者、旧1級課程修了者
管理者
常勤で1人
定められた資格要件はないが、適切な管理能力が求められる
なお、管理者を常勤で1人配置しなければならないため、最低3人の職員が必要となります。
人件費を見直す際は、法令を遵守したうえで、事業の継続性とサービスの品質を両立できる最適なバランスを見つけることが求められます。
訪問介護の運営資金のご相談は「AGメディカル」へ
訪問介護の運営において、人件費は売上高の約70%と大きな割合を占める経費です。しかし、人件費を削減しすぎると、サービス品質の低下や職員のモチベーション低下につながり、事業継続が難しくなるリスクもあります。
人件費の削減だけでは事業運営資金の確保が難しい方は、AGメディカルの「介護報酬担保ローン」をご検討ください。
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支払期日前に返済する場合(一部償還を含む)は、早期返済違約金をいただきます。
法人の場合は代表者様に原則連帯保証をお願いします。
まとめ
訪問介護事業を運営するうえで、人件費は売上高の約70%を占める経費です。サービスの質を維持しながら安定した事業を継続するためには、人件費を適切に設定し、管理することが大切です。
人件費を抑えるためには、業務効率化による残業削減や適正な人員配置が主なポイントとなります。
ただし、人件費を削減しすぎると、サービス品質の低下や職員のモチベーション低下につながり、離職率の増加や事業の信頼性低下を招くリスクがあるため、注意しなければなりません。特に、法令で定められた人員配置基準は遵守する必要があります。
資金繰りに不安がある場合は、融資を受けることも有効な選択肢となります。
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